読書メモー貧困大国アメリカ
市場経済の抱える課題と市場原理主義の加速した社会に対して恐怖してしまい、
日本がどのような社会を目指せばいいのか、
自分はどうやってそれに貢献すればよいか、
について深く考えさせられた内容でした。
市場経済を突き詰めたアメリカ社会の裏に存在する大勢の貧しい人々について、
ここまで思いを馳せたのは初めてでした。
特に印象的だったのは、
格差社会が、戦争を支持する社会構造になっている ということ。
・ アメリカの軍のリクルーターが、貧困層の若者、経済的困窮者に対して、あまりにも露骨な勧誘活動をしている
・ リクルートされる貧しい人々も、「イデオロギーのためではなく、生活苦から」、軍人として入隊する、もしくは戦地への派遣要員として登録する
というWinーWinな関係が出来上がってしまっていることに衝撃を受けました。
経済性至上主義は、人の人としての価値を無化させ、歯車の一つにしてしまう。
民主主義のあるべき姿は、個人としての人や、歴史、人間の尊厳が、他の何にも勝り重要視される社会構造である。
といった趣旨の、著者の考える理想の民主主義の在り方についての意見、とても考えさせられました。
ここで私自身の反省も告白。
個人的な話になってしまいますが、
会社で組合の執行部になったので、働き方改革を進めています。
「みんなが早帰りするはどうしたらいいのかな?」
「みんなの残業時間、どうやったら減らせるかな?」
ということを考えてきましたが、
これらの方向性って、少し表面的だったかもしれない・・・
と反省するきっかけになりました。
というのが、残業時間を減らすために
「無駄な書類作業をやめよう!」
「非生産的な社内手続き、もっと簡略化しよう!」
といった感じで、
効率化のことで頭がいっぱいになっていました。
でも本書の通り、効率化だけを追い求めてしまうと
働いている人たちのやりがいを奪ってしまう可能性があること
に気づかされました。
特に私の会社は、民間とは違って、
人助け=やりがい
と考えている人がほとんどなので、
「働いている人のやりがい」
を大切にしていかないといけないと。
そこで、上記の反省を踏まえまして、
今は、少し働き方改革に対する考え方を変えることにしました。
現在は、
やりがいのない業務(個人的には社内手続き関係の業務)を削減して、
そのかわりに、やりがいがある仕事ができる時間増やしてあげられるような仕組み作りを目指せば、
働いている人がもっとハッピーになれる会社になるかな、
なんて考えています。
国際協力の仕事にやりがいを感じる人たちが、
心から仕事を楽しめる環境を作れたら
最高だな・・・(*´꒳`*)
なんて野望を抱きつつ、
組合活動の方も引き続き頑張りたいと思います。
最後にお気に入り箇所を引用
あとがき部分から
「無知や無関心は「(世の中を)変えられないのでは」という恐怖を生み、
いつしか無力感となって私たちから力を奪う。だが、目を伏せて口をつぐんだとき、
私たちは初めて負けるのだ。そして大人が自ら舞台を降りた時が、
こどもたちにとって、絶望のはじまり、になる」
「未来を選び取る自由を決して手放さないと決めた世界中の仲間たちへ」
2018年9月29日 読了